杉浦大介

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。

『Yahoo! Japan』 『日本経済新聞』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツニッポン』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している。

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7月8日(水)
『DAISUKE SUGIURAs’ Weekly Boxing』スタート
ニューヨークの在住ライターとして活躍する杉浦大介さんに、A-SIGNが日本と海外で起きた1週間のニュースから10に出来事をピックアップ。その一つ一つに感想を書いたいただきました!

【 国内ニュース 】

■ 協会がPCR検査、選手のホテル費用などを補助

アメリカでは興行のプロモーターが放映テレビ局のバックアップを受けて経費を負担するのが通常。たとえパンデミック 下でも、試合が開催される州のアスレチック·コミッションが援助するというのは考えられない。誰よりも早く興行再開したトップランクのボブ·アラムによると、1興行あたりコロナの検査だけで約2万5000ドルの費用がかかるとか。よって、テレビ局と契約を結んでいるメジャーな会社(トップランク、ゴールデンボーイ·プロモーションズ、マッチルーム、PBC)以外、これまでチケット代とスポンサーに頼っていた小中プロモーターは無観客興行を打つのが難しい状態になっている。
日本ではいったいいくらが援助されるのかは不明だが、恵まれているとも感じる。それぞれのジム、プロモーターは補助金をぜひとも有効に生かし、所属選手のキャリアを前に進めて欲しい。

■ 井上尚弥vs.カシメロ統一戦 日本開催の可能性も

大橋会長「年内にできれば」今後の見通し語る
のびのびになっている待望のバンタム級統一戦。とにかく井上戦実現がプライオリティと言い続けたカシメロ陣営だが、渡航制限ゆえになかなか具体化しないことに痺れを切らしたか、数日前から少々トーンが変わってきた印象もある。アメリカ人の対戦者と1戦挟むことも示唆されており、だとすれば一部で報道された通り、ルーシー・ウォーレンと対戦も?ラスベガス滞在中のカシメロとアメリカ人のウォーレンの対戦なら、ベガスで早い段階で挙行できる。
もっとも、カシメロ陣営のギボンズ・プロモーターに6日に訊くと、「様々なオプションを考慮している」という返答だった。もちろん井上戦を優先したい思いも変わらないとしても、ウォーレン、ペドロ・ゲバラ、ジェイソン・マロニー(カシメロ対マロニーはトップランクが一度はノーといったとか)といった実力者たちとの対戦も考慮しつつ、フレキシブルに考える方向のようだ。

■ 今月から国内興行再開! 7月興行日程&主なカード

どのカードというより、無観客、あるいは大幅な客の間引きで行われる興行がそれぞれどんな雰囲気になるかに注目したい。無観客だと味気ない空気になりがちだが、だからこそ主催者、プロモーターの頑張りが問われる。
上記したトップランクの興行は、ESPNのバックアップを受けて臨場感のあるバブル(隔離)空間を作り上げた。おかげで少なくともテレビ画面を通じては、無観客のマイナスをそれほど感じさせていない。日本の会場ではそこまでは難しいのは承知の上。それでも特にテレビ興行では、画面からどんなクリエイティブな工夫が見えてくるかを楽しみにしている。

■ 元世界王者の比嘉大吾 Ambition GYM所属に

年内2試合目標「できるだけ早く世界王者に」
大手プロモーターが大きな力を持った米英ボクシングの問題点はマッチメイク面でよく指摘されるが、ここ数年の比嘉選手を見ていると、日本のジム制度の難しさも改めて実感させられる。昨秋に決まったジム移籍の新ルールも機能するのかどうか。比嘉選手は一時期アメリカのマニアからも注目された逸材だけに、ポテンシャルを完全開花させてくれることを望みたい。

■ 8.22はじめの一歩トーナメント決勝 チケット発売

セミに元OPBF、日本王者の和氣慎吾が出場
5日に目標額を達成したというのはポジティブなニュース。良い前例ができたことで、この興行に限らず、8月31日のA-Signボクシングをはじめ、後に続くイベントにも好影響が及ぶことを期待してしまう。アメリカではPPVは盛んでも、クラウドファンディングを興行にいかした例は私の知る限りまだない。日本の成功が話題になれば、アメリカで考慮されることも?

【 海外ニュース 】

■ 元王者ペドラサ大差判定勝ち 今後は3階級制覇へ

五輪2大会金の“至宝”ラミレスは雪辱成功
メインでは元2階級制覇王者ホセ・ペドラサがミケル・レスピエールに3-0(100-88, 99-89x2)の判定勝ちで、2度ダウンを奪っての完勝だった。ティト・トリニダード、ミゲール・コットには熱狂した熱いプエルトリカンも、「この選手には熱くなれない」というほど地味なペドラサ。この日も圧倒しながら、KOまで至らなかった点にペドラサへの物足りなさを感じてしまう。ただ、やはりスキルと底力はある。スーパーライト級でのデビュー戦でも力を誇示し、相手を選べば3階級制覇も可能。現実的にはジョシュ・テイラーとホゼ・ラミレスが4団体統一戦を行い、勝者が昇級し、返上したいずれかのタイトルの王座決定戦に出場することになるのではないか。
アンダーカードでは元五輪で2度も金メダルを獲得したキューバの至宝ロベイシー・ラミレスが、デビュー戦で敗れたアダン・ゴンサレスに3-0(60-54x3)の判定で雪辱。これで4-1, 3KOs。現地でも試合内容に不満の声も出ていたが、プロ5戦なのでまだまだこれから。アマエリートなら誰でもすぐに適応できるわけではない。正直、デビュー前のラミレスにインタビューした際にはプロを甘く見ているような印象も抱いたが、敗戦後は奢りのようなものが消えてなくなった。かなり慎重に戦うようになったことに対して賛否両論ありそうだが、個人的には長期視野でプラスに働くのではないかと考えている。

■ フューリーvs.ワイルダー3 12.19候補日に浮上

ラスベガスのNFLスタジアム開催プランも進行
ラスベガスに建設された新スタジアムは8万人前後の集客が可能なはず。世界ヘビー級のラバーマッチは、当地での初のボクシング興行に適したカードではある。実現させられれば、ボクシングの本格再開を祝福するような大イベントになるのだろう。
ただ、全米でコロナ感染者が依然として増えている状況で、この興行も現実的に“プラン”と呼べる段階ではない。現状、実体のある話ではなく、単に会場を押さえておいただけ。ソーシャルディスタンスをした上で、3割程度お客を入れるといった方法を取るとしても、莫大なコストがかかる大会場の使用が採算的に本当に可能なのかは微妙なところだろう。もちろん「実現すれば良いな」と多くの関係者が願っているのは事実ではあるが。

■ WBCがキャンベルとR・ガルシアの暫定戦を指令

強豪ひしめくライト級は王者乱立の様相
高速コンビネーションと甘いマスクで注目の存在になったガルシアに、WBCはルーク·キャンベルとの暫定王座決定戦、WBOはエマヌエル·タゴエとの挑戦者決定戦の挙行を要請している。金の卵がどちらを選ぶかに注目だが、6日の時点でキャンベル戦が有力の模様。ワシル·ロマチェンコにも善戦したキャンベルとの試合は米英で注目のカードになり、ガルシアが得られるものも大きいが、その分リスキーという見方が一般的だ。
WBAはスーパー王者、WBCはフランチャイズ王者(どちらもロマチェンコ)を設けているライト級は王座乱立状態。ただ、それはつまりスター性の大きな選手が同階級には多いということを意味する。WBA正規王者ジャーボンタ·デイビス、WBC正規王者デビン·ヘイニー、IBF王者テオフィモ·ロペスまで含め、イキの良いスター選手たちが転級する前に1戦でも多くの直接対決が決まって欲しいものだ(近年の慣習からするとあまり期待できないかもしれないが)。

■ 6.30ボクシングきょうは何の日 マイク・タイソン誕生

ボクシング史に残る統一ヘビー級王者
タイソンももう54歳。近年は自伝のワンマンショーツアーが成功し、金銭的にも落ち着き、すっかり丸くなった感もあった。それだけに、パンデミックの自粛期間中に復帰話が飛び交ったのは少し意外だった。その話題性はさすが(最近でも会場に姿を現すと、誰よりも大きな歓声を浴びるのはやはりタイソンだったりする)。
もっとも、6月からボクシング興行が再開すると、タイソンのカムバック話もかなりトーンダウンした印象。各メディアがコンテンツ枯れの時期にネタを提供したという意味で、元王者はボクシング界に再び貢献したという考え方もできるのだろうか。

■ 元5階級制覇王者アルセ コロナ禍支援でベルト寄付

5階級制覇したチャンピオンらしい(?)、太っ腹の寄付。4月にはフロイド·メイウェザー が金額不明ながらコロナの犠牲者への寄付を申し出、5月にはサウル·“カネロ”·アルバレスが地元病院に医療セットを寄付したこともニュースになった。また、マニー·パッキャオも母国フィリピンでお金、テストキット、フェイスマスクを寄付するなど、ボクシング界が誇るビッグネームたちは様々な形で動いている。欧米ではこういった活動をする選手に対して、“売名行為”などといった馬鹿げた声はまず飛ばない。スター選手たちの行動が、何より“Awareness(必要な物事の認知度)”という意味で大きな貢献を果たしているのは間違いない。


 
7月15日(水)

A-Signボクシングのオンラインサロン企画が更新!
今週は「国内興行再開」「内山高志」「松本圭佑&中垣龍汰朗」「DANGAN」「村田対ブラント2から1年」「米再開後初の客入れ」「ナバレッテ&シャクール」「ネリ」「ロマチェンコ対ロペス」「ホーン対チュー」などです。

7月22日(水)

A-Signボクシングのオンラインサロン企画が更新されました!
今週は「大阪のジムで感染」「沖縄で客入れ興行」「井上浩樹&永田大士」「清水聡」「スペンス、クロフォードの次戦」「ロマゴン」「ベルデホ」「またネリ」「ヘリング」について思うところを書いてます。

7月29日(水)

A-Signボクシングのオンラインサロン企画が更新されました!
今週は「矢吹正道」「堀川謙一」「三迫ジム」「初回KO記録」「25歳以下のPFPランキング」「オルティス16連続KO」「名トレーナー逝去」「タイソン対ジョーンズ」「PBConSHO」「サラゴサ」について思う所を書いてます
8月5日(水)

A-Signボクシングのオンラインサロン企画が更新されました!今週は「松本好二」「亀田兄弟」「具志堅用高」「中谷潤人」「リナレス」「Sバンタム級」「エディ・ハーン」「スペンス対ガルシア」「タイソン対ジョーンズのPPV」「ジョシュア」について思うところを書いてます。


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