坂井祥紀 vs 重田裕紀

8月31日(月)新宿FACEで行われる『ファーストレート Presents A-SIGN BOXING』のメインイベントを飾るのは、メキシコでプロキャリアを積んできた元WBC世界ユース・スーパーライト級王者の坂井祥紀(横浜光)と、17年度全日本ウェルター級新人王で現在同級7位の重田裕紀(ワタナベ)の興味深い1戦だ。


坂井は高校卒業後にトレーニングを目的で渡ったメキシコで住み続けることになり、プロデビュー戦をロスモチスで行った。
この試合を判定勝利で飾った坂井はその後、僅か4ヶ月で月1回のペースで試合を行い4連続KO勝利。
同年11月に判定で初黒星を喫するも、再び3連勝するなど約1年で9戦8勝(5KO)1敗と凄まじいペースで堂々たる成績を異国の地で刻んでいった。

そんな坂井がメキシコで師事したのが名伯楽ナチョ・ベリスタイン。メキシコの最高傑作の一人でもある世界2階級制覇を達成したリカルド・ロペス、同じく2階級を制したジョニー・ゴンザレス、更に世界4階級制覇王者ファン・マヌエル・マルケスなど、メキシコの英雄達を育て上げたレジェンド・トレーナーだ。

ナチョの下で順調に育っていった坂井は、15年9月にWBC世界スーパーライト級ユース王座決定戦に勝利してタイトルを初獲得。その翌年から25戦20勝(13KO)5敗という戦績を引っ提げいよいよ米国に進出を果たす。

16年4月にテキサスでの米国デビュー戦は判定勝利するも、その後はメキシコ、米国を行き来する間に勝ち負けを繰り返すようになり、世界の壁にぶつかった。更に18年4月から海外で最後の試合となる19年11月まで、ホープとの連戦でアウェイの洗礼を受ける試合などもあり4連敗を喫してしまった。

このままではダメだ、、
そう感じた坂井は再び自分のキャリアを積み上げることを決心し、日本への帰国を決意する。

海外への積極的な仕掛けを行い、自由な雰囲気を感じた坂井は横浜光ジムの門を叩いた。
そしてプロとなってから10年、今回が初の母国日本での試合が8月31日の舞台となった。


そんな“逆輸入ボクサー”坂井祥紀の相手は中々見つけることができないだろう、と言われていた。

坂井は強い、彼を知る国内外で活躍するプロモーターや、海外でトレーニングを重ねてきた選手達が声を揃える彼への感想だ。

しかし、思いの外その対戦相手が早々に名乗りをあげた。

全日本新人王を獲得した日本ランカー、重田裕紀がこのメインイベントへの参戦を表明したのだ。


サウスポーの重田は16年5月に井上尚弥&八重樫東の、大橋ジムコンビによる世界戦の予備カードでプロデビュー。韓国人を相手にダウンを奪われ判定負けとなった。

しかし、翌年1月に初回TKOでプロ初勝利を飾ると、参戦した東日本新人王予選を2連続KOで勝ち上がり、決勝も判定勝利で東日本新人王となる。
全日本新人王決定戦では、西日本でMVPを獲得した安達陸虎(井岡弘樹→大橋)を相手に3-0の判定勝利で、前評判を覆し17年ルーキーのトップとなった。

18年は10月に初海外遠征先となった韓国で初のドローを経験、19年4月に判定勝利と2年で1試合づつを重ね現在戦績を8戦6勝(3KO)1敗1分としている。

右利きサウスポーの重田は、その自分の利点がこの試合で大きく活きると見ている。
メキシカン特有のサウスポーが苦手という例に坂井も当てはまる可能性、さらにその変則的な動きが加えることである種の間を生み出そうとしている。
坂井の強さはディフェンスにあることも見抜いており、重田が冷静に自分のペースを掴んだとしたら、試合は相当な面白い展開となりそうだ。


“Suerte para shoki (祥紀に幸運を)”

メキシコにいるナチョから日本での試合に臨む坂井に向けた言葉が彼の下にきていた、
坂井はこの言葉を胸に母国で結果を残し、再び世界に凱旋することを目指している。

坂井のメキシコ仕込みの攻撃的な”メキシカン・スタイル”と、
重田の日本特有のたたき上げキャリアが詰まった”ジャパニーズ・スタイル”、

この試合には日本人選手が海外ボクシングへの腕試しを行う、冒険のような浪漫の香りがほんの少しだけ漂っている。
浪漫が語れるような可能性を秘めた選手達を育て、追うことができたら面白いと思う。

その第1歩が今回の『ファーストレート Presents A-SIGN BOXING』にあった、
と、言えるような戦いぶりに全試合、特にこのメインイベントには期待して観戦をしてもらえたらと思う。