スタートが間違っている

 かつては日本タイトルマッチが1試合あれば、後楽園ホールくらい満員にできたんだけれども、何年か前から複数タイトルマッチを組んでも、いっぱいにできないなんてことが多発しちゃってますな。ボクシング人気の低下ももちろん原因なんだろうけど、日本タイトルマッチの価値が下がっちゃってるってのも、ひとつでしょう。

 じゃあ、なぜ価値が下がっちゃってるかっていうと、OPBF東洋太平洋戦の頻発、日本人チャンピオンの増加に加え、WBOアジアパシフィック戦の承認も大きな理由でしょう。

「日本→OPBF→世界」って“順番”が崩れてしまってるから。この「→」は「<」とイコールで、右へ行くほど“強い”って認識だったんだけど、いまじゃ「日本=OPBF」、もしくは「OPBF<日本」なんて逆転現象も起きちゃってる。つまり、「このクラスは日本人チャンピオンが強いから」って、OPBFやWBO・APに“逃げちゃう”なんてこともしばしばなんです。

「なにも、国内で潰し合う必要なんかない」なんて甘〜い考え方から、日本タイトルマッチで見たいカードが実現しづらくなってる。OPBFやWBO・APを利用してるだけ。新しいファンなんか増えるはずもないし、もっとも危惧すべきなのは、オールドファンがそっぽを向き始めちゃったこと。そこへ加えて、選手数が激減。プロテストを受けようなんて練習生もどんどん減っちゃってるとさ。
 それに歯止めをかけようと、日本ランキングを10位から12位、15位となし崩し的に増やしていき、いまじゃ「A級選手全員にランクを与えよう」なんて、まったくとんちんかんな動きすらあるそうで……。

「ランクを与えて、自分の立ち位置を認識させて、目的意識を持たせよう」って考えらしいけど、そもそもランクは与えるもんじゃないし、目的意識は自分で持つもの。「立ち位置がわからない」とか、「頑張れど頑張れど、ランキングに入れない」って、そんな程度で辞めちゃうような選手は、所詮その程度。むしろ、敷居を低くしてしまったことで、正当にランクを持っている選手のその価値すら軽く見えてしまう始末なのだ。

 いや、現実はもっと違うところにあるんだろうと思いますよ。チャンピオン以外のファイトマネーが安いのはしかたないとは思います。が、チャンピオンも含めて、ファイトマネーを「現金」でなく、「チケットを渡す(チケットを売って、それをファイトマネーにしなさい)」というシステムこそが、ボクシング離れ最大の理由でしょう。
人気選手ならいざ知らず、まだまだこれからという選手がチケットを売れるはずがない。そもそも、選手の役割は「戦うこと」であって、チケットを売るのはジムの仕事。
チケットを選手に押しつけるということは、役割の放棄ってことで、これはハッキリ言って、ジムをやる資格などないし、プロモーター、マネージャーライセンス剥奪モンでしょう。

 安くてもきちんと現金で支払う。強くなって、上昇していけば、人気だって上がる。ファイトマネーも増える。それが正しいカタチ。
でも、チケット払いの“一石二鳥”で現金払いを逃れ、選手が逼迫して辞めてしまえば、ランキングのせいにして枠を増やす。これもまた、手順がまったくとんちんかんで、間違ってるでしょう。

 いろんなことから目を背け、その場、その場で場当たり的に“逃げの一手”を打ち続け、それらが積もり積もって噴出してしまったのがいまの状況なんです。結局、自分で自分の首を絞めてしまって、呼吸困難になっているのが現状なんです。
で、いちばんとばっちりを食っているのは、本来もっとも報われてしかるべきボクサー。それじゃ、みんな辞めたり逃げたりしちゃうのは当然でしょ。

 じゃあ、打開策はなにか?って? いや、さすがにそれは自分で考えればわかるでしょ。根本を捻じ曲げることがスタートになってんだから、その根本を正すところからでしょ。

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