赤穂亮には、まだまだ“暴力的”であってほしい

「ボクシングは暴力だ!」なんて声高に言い放ってしまうといまのご時世、あっちこっちから批判が飛んできてしまいます。早めのストップが推奨され、事故が起きないよう、各方面で徹底されつつある時代ですからね。いや当方も、普段から「このセコンドはなんでタオルを投げないんだ!」「あのレフェリーはストップが遅い!」なんていっつも文句ばっかり言ってますが。それはもうほぼ“決着がついた”戦いで、一方が一方的に殴ってるだけの状態だから。
 ボクシングの醍醐味に「大逆転」があり、「ストップが早すぎる!」って怒っているセコンドは、「その機会を奪われた」、「ボクシングの魅力が損なわれる」って理由でレフェリーに文句をつけたりするわけですが、第三者から見れば、もうそんな余力はない、いやもっと言ってしまえば、「そんなにダメージを受ける以前に、ディフェンスを研いてこいよ」って思ってしまうのです。

 ボクシングは、「人智を超えた戦い」、「スポーツではなく格闘技である」、というのもわかりますが、殺し合いではないわけですから。やっぱり、技術と技術のぶつかり合いが大前提にあって、そこが互角であるならば、初めて気力の勝負となるべきだと思うのです。

 でも、「暴力」の香りをプンプンさせる男には、どうしても魅かれてしまうんだなぁ。言ってることが真逆ですが(笑)。赤穂亮(横浜光)ですよ。体重調整に失敗して防衛戦をキャンセル。日本バンタム級王座を返上して、一時は引退も考えたって聞きましたが、やっぱりリングに戻ってきて、2連続KO勝利。


 サウスポーの水谷直人(KG大和)は、立教大学でキャプテンも務めたアマチュアキャリアのある選手だけど、いまだノーランカー。OPBFと日本のチャンピオンとなり、世界タイトルにも2度挑戦している赤穂とは、プロでの実績は大きく隔たりがある。ハッキリ言って、“ミスマッチ”と批判されてもおかしくないくらい。それでも、そこそこの勝負にしてしまうのも赤穂の魅力、いや、水谷と陣営の研究熱心さが生んだのでしょう。

 すぐにカーッとなって熱くなってしまう赤穂を苛立たせようと、入ってくる赤穂に組みつき、頭を押さえこみ、頭をロックする。そしてスッと背後に回り込んで、後ろから顔面を打つ。まあ、反則と言ってもおかしくないくらいのやり方ですが、ギリギリのことをしないとやられちゃいますからね。

 赤穂の試合は、近年とみに荒れる傾向がある。芹江匡晋(伴流)との試合とか、田中裕士(畑中)との日本タイトルマッチとか。赤穂の技術不足もあるんだろうけど、相手がそんな技を用意してくるのは、とにもかくにも赤穂が「怖い」からでしょう。あんな左フックを目の前でぶん回されたら、そりゃ誰だって怖いっしょ。
 もちろん、赤穂にも細かいテクニックはたくさんありますよ。足で外すことだってできるし、ヘッドスリップやダッキングだって巧み。もらってるようでもらってないですからね、赤穂は。でも、あのビッグパンチがすべてを眩ませてしまうんです(笑)。

 世界王座を陥落してしまった木村翔(青木)もそうだけど、この赤穂にも、とても“昭和の香り”がします。そして暴力、血の匂いがプンプンとします。女性や子どもにもボクシングに注目してほしい! って考えとは相反してしまいますが、でも、ボクシングのダークな部分って、同じ男としては欠かせない魅力の一部なんだよなぁ。いや、そんな男に惚れる女も世の中にはごまんといる!(笑)

 だからって、赤穂がバッドボーイだとは思いません。いやむしろ、良い奴すぎるのがアダとなっているのも知ってます。相手をリスペクトしているのもよくわかります。試合後なんて、めちゃ素敵な振る舞いをしますからね。
試合前の“口撃”、試合での“暴力ぶり”、そして試合後の好感を持てる発言。赤穂ももう32歳なんて、時の流れを感じますが、まだまだ暴れ回ってほしいですな。あ、いや必殺の左フックの間隙を縫って放つ右ストレートも洗練されてきましたな。

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